甲州 koshu (22), 2008

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荒野に放たれた夢のごとく
夏が過ぎる

霞む眼の霧は晴れないまま
期待と不安のなかに漂流していた
一粒の勇気をみつけて
内蔵の響きを身に灯して

木々がまた樹皮を纏うように
地の果てにまた世界が開くことを夢みて
夏が過ぎる


はかなくもくずれさろうとするその心にその身を帰すことのなかに
新しく生まれ出ずる心をつかまえ
無垢なる純身をさらす

生きる哀しみ
朽ちる宿命を身体に湛えて
その荘厳なる生の影を
ただひたすらに待つ

身寄りのない
その孤独な他者は
待つ