桐生 kiryu(3)2009

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近くの古美術店で伊藤若冲の墨絵をみせて頂いた


若冲は同じ鶏を長い時間かけて
その卓越した眼に照らして
じっとして鶏の自然を観察し切った
しまいには鶏の記憶と心の働きのみによって
鶏の動く一瞬の動作のずれをつかまえ
鶏そのものの自然を自ずから
描写するに至ったのかもしれない

心のなかで鶏が動く
その変化する鶏を
鍛えられたその眼の記憶と筆の言葉で
形にしていたとしたら
止まることをしらないだろう

静的な軸を得ることによって
動的な心のなかに生き
外部からの契機と理解から
静的な内部に照らして
その内部を動かし
再び外部に放出して問い続ける

その反復とズレのなかに
真に生きることができたならば
どんなに楽しいことだろう