前橋 maebashi, japan, 2009

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言葉にアーティキュレーションがあると
言葉の意味の外側の
言葉の艶の変化に心うたれる

声の艶、音の艶と言葉の艶が同次元に存在して
言葉の艶が意味を支えて
一度意味から遠くはなれて
再び声と音の艶のなかに
豊富な意味が戻ってくる

人間にとって音楽は
意味をもたない意味であって
分からない何かを分かるためではなく
分からないものをつくることでもなく
分からない場がつくられること
そのことによる身体と精神のフィードバックだ
積み重なるフィードバックが
人間の多様で太い幹をつくりあげる

音の修行を続けることは
音に支配されず言葉に支配されないために
意味なき場所へと自らを追い込む
そして追い込まれること

音の時空と生命の時空が掛け合う
音と耳の摩擦が真に生じる
その豊穣さのために
息をして生きる
意味なき意味を鍛える