carmona(2), spain 2008

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木曽川の勾配の緩やかな流れから急峻な流れへの変化を観察していると
無数の水の飛沫が跳ねている
定められた法則から時に完全に脱して変化しつづける文様
時の移りのなかにきえる水泡

時空のなかに没入し光を光として感じなくなるとき
あらゆる段階の秩序と無秩序のなかにたちすくむ

山から聴こえてきた低音を響かせた風
光の粒でほのかに明るみをなしている夕闇のなか
風は轟音とともに微明のなかに消えた

澄んだ心で
むこうのまだ光のあたっている山の木々を
川縁で激しい川の流れを
微明のなかにはっきりとみる
微分された山川
そこにふく多様な風のなかに聴く
そこここにある人々の匂いを

微明の相の変化をその内部に捉えるのではなく
全く新しく微明のなかに吹く風を聴いて
与えられた問いの定めを解き放つ
音と光を人々へと橋渡すために

風の微分
それは水であり木
風の積分
それは川であり山