筋目書き(四十五)雨月12 菊花の詩(三)
関 seki, 2013
筋目書き(四十五) 雨月12
菊花の詩 (三)
軽薄の人
空の波にのって
すだれにくっつく
吊り輪のひもが切れて
虹は降ってきた
艶やかな肌に
濾過される音
●今日は「菊花の約」の文中の「軽薄の人」を借りてちょっとやってみる。身体が溜まり切る寸前で書いてみると、意外にもあれこれやって腑に落ちるまでに十数分ほどしかかからず、練り直そうとも思わない浅漬けだが、おもしろかった。空を見上げながらひらめきを書きとめて少しだけ直す。それではあさはかにすぎないのだろうが。詩は思想表明では片付かないからおもしろいのだろう。時間をかけて少しずつ経験していって、言葉からの言葉による飛躍が必要なのだろう。というのも、最近のこと、豊田市美術館のフランシス・ベーコン展にいって、土方巽の草稿をみてたいへん興味ぶかいものがあった。この夏至の夜、子供もやっと寝静まって詩人たち、吉田一穂、吉岡実、西脇順三郎など何人かの詩をもの凄く久しぶりに少しだけ読んでみたが、ずいぶん考えに考えられているのも、私にも何となくはわかってくる気もしたが、土方巽の言葉がそのままで強烈なことだけは、私にもはっきりとわかる。