扶桑

筋目書き(四十二)雨月9 白峯の幻

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「目ざめているあいだに紡ぐ思いを眠りの幻のなかにまで紡ぎ込むのは控えよう。ー17世紀イギリスの医師トマス・ブラウンの言葉、ゼーバルト『土星の環』よりー」時間が自らの内部経験の基体であって、ことのはじまり、はじめに人間が引きつけられるのは常に、世界の異形、異常であって神秘であるということに、いま目覚めていなければならない。白峯のこの最後の言葉に象徴されるように、白峯という完膚なきまでに構築的な世界も、そのはじまりの創造は世界の異常面から端を発し、その終わりも狂気への畏れでむすばれている。個々に流れる時間は空間のような境界をもって区切られるように支配されることは容易にはできないのだろうし、様々なコントラバス音楽を聴いていて音楽がまだ全くもって死に切ってはいないと感ずることからもわかるように、世界の幻、この時間的狂気を、区切られた仮想空間によって凌駕し否定し切ることは決してできないだろうが、いま同じ悪夢が繰り返されないための目覚めは、個々において少なくとも感じ取られなければいけないだろう。…写真と本文へ… to photo and read more…