3

孤島に離れると、横を向いた意識は遠のき、身体が垂直に立ちあがる
やがて思考は玄奥に埋もれ、悲哀は静穏に変わる
微光に映える森のなかで、世界が私に触れている

2

意識が存在の儚さのうちへ吸い込まれ彼方に散っていくと、心の芽が静かに生えてくる
その外側で、草木が野生の言葉を漏らしている
遠いのか近いのかはかることのできない場所から、尊厳を呼ぶ声がきこえだす

1

竹の葉をつたって雫が落ちていく
言葉の網目からこぼれ落ちてゆく命が、ゆるく編まれた世界の結び目につなぎとめられる
人はふたたび目覚め、世界はその思考をひらく



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