東京 神楽坂(2) tokyo, 2008

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看護師、栄養師、薬剤師さんと4人で、仕事帰りにとても渋いイタリアン立ち飲み屋で飲んで語る。

それぞれに生きる徒労を抱えながら、患者さんのことを様々な側面から考えて、今の非常に厳しい医療現場について真剣に心している。真面目に語るということよりも、真面目さと不真面目さのあいだに見え隠れする真摯な姿勢。全く目立たないことではあるが、こういう方々と話をして、互いの立場を相互に尊重し、想像することの大切さを改めて思う。その相互関係のなかで、自分の持ち場をいかにまっとうするかということが、おそらく彼らの、そして私自身の根本的な課題としてある。

音楽や写真も、こうした関係性のなかに、具体的な意味、すなわち一つの身体性を帯びるのではないか。真摯な受け取り合いのなかにおいてこそ、音、そして凝集された光は、真に自由に生きることができる。両者はやはり、ある確実な倫理性、他の存在との真の関係性のなかから生ずるものなのではないか。

地位、権力の介入や肥大化した自己、あるいはすでに一般化したイメージや常識の枠の外で、思いもかけない新鮮さを帯びたものごとが生じる。それがそうであると気づかなくとも、それはすでに起こっている可能性もある。それらの生ずる前提には、人と人との本当の交流があり各々の生き方がある。

他者との新たな出会いの場において、いかに自己に密着しつつ、同時にいかに自己からはなれることができるか、そのことを再び思う。