夢枯記001 Tetsu Saitoh | Invitation

contrabass solocdohrai records1998
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bass001

はじまりはこれでなくては、と思って昨日ひさしぶりにこのCDをかけた。1999年だったか、僕の写真の個展で齋藤徹さんをはじめて富樫花代さんに紹介していただき、このアルバムを聴いて気持ちをあたためて、齋藤さんにレッスンをしていただきたいと決心した思い出がある。

コントラバス音楽の一つの魅力は、からだのなかの大部分を占めている水の自発的振動を呼び覚まし、心にその自然を無理なく伝えることによって、体のなかの何かを目覚めさせ意識させることかもしれない。インヴィテーションー招かれることは与えられること、そして与えられたものが目覚める契機。音楽の夢にひたったあと、ベランダから冬のオリオン座がいつもよりくっきりとみえた。2曲目に「月の壺」という齋藤さんの曲が入っているが、このアルバム全体を聴いて、月の壺にもう一度入ってからコントラバスの宇宙を見上げるなら、いつもどこかに新しい星を一つ見いだすことができるだろう。このアルバムを本当に聴く為には、ゆっくりとして心を空にしている気持ちが大事だ。

オリーブ、コルダというガット弦がはられていて、音がすばらしくよい。録音は小川洋氏。タイトル曲の「Invitation」は5曲目に収録されていて、齋藤さんの変則チューニングの響きの豊かな曲で、僕の最も尊敬するもう一人のベーシスト、バール・フィリップスさんがこの曲名をつけたとある。