筋目書き(四十五)雨月12 菊花の詩(三)

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軽薄の人
空の波にのって
すだれにくっつく
吊り輪のひもが切れて
虹は降ってきた
艶やかな肌に
濾過される音

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筋目書き(四十四)雨月11 菊花の詩(二)

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砂粒のざらつきと海水のぬめりの入り交じった暗闇に息を吐く浅蜊をながめていると人の痛しむ声が聴こえた
白地に言葉を刻み付けるように善悪をつけながら浅蜊を網に入れる指先の罪は声に揺りうごかされる気流に包まれた音の温もりに写し取られた
眼前の遠浅に無限に繰り広げられる砂下の浅蜊の多様な文様は冷たく固い装いと内面の柔らかい激しさのあやうい平衡のとれた曲線美に象られていた
青空の下で蓋を開けなければ痛みの伝わらない小さな浅蜊たちは捕獲に魅せられた狂った人間に捨てられながら泥を吐きだし泡を吹いては死を待っていた
空と海をいまにも分かとうとしながら水平線に沈みゆく太陽の切れ切れの赤い滲みにつなぎとめられ燃やされながらだれか生きている
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