犬山 inuyama(5)2009

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私は身体のどこかで権力について考え続けているようなのだが
このこと、つまりはきっと、私に内在している権力について
どう捉えてよいかずっとわからないで保留したままでいる
けれど困ったことに少し書いてみたくなった
少しの書物を読んだくらいのくだらない感想よりも
少しのきっかけを大事にして
先日亡くなられた大野一雄さんの踊りを
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歳のとき初めてみた
こびりついた何かを思い起こしながら



何か 
もうこのときすでに消えている 刹那や永遠の磁場でなく
白い紙へ綴る手前 白い紙すら思考できない場
無が無化されるとき 何かから存在しだす 
何ものか

何かから 何ものかへの 絶え間のない運動
内部に蠢動する不気味な力と絶えず闘いながら
無が無化される場 生ずる瞬き 
瞬きの内部を通過しなければ
現実は真にあらわれない 自然は本性をみせない

身体が入り口へと入る 入門が出口である維持 持続
入ることが出ることであるような門際に い続ける 
ゆっくり動いている 絶えず生きている ただ
あるだけの命



現実の裂け目を拾う写真 
自然の裂け目に到来する音楽 
社会の裂け目を担う臨床
そういってみるなら
それらの裂け目を貫く運動でありつづけなくては
自らの権力と垂直な身体にはなれない
言葉そして批評も
現実の裂け目
自然の裂け目  
社会の裂け目
その裂け目に際どく生き続ける
内部感覚あるいは思考を欠いて真はない