犬山 inuyama(13)2009

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冬の訪れは新しい友の訪れのようだ

一昨日は竹林の間に沈む潰れた太陽のように
地面すれすれ透明に輝く欠けた月があらわれた
昨日の小庭の石はだんだんと雨に濡れて光り
微かに白く色づいていた
今日の竹は風にしなり薮は空に吠えている

時は想っているより
遥かに長い
静けさのまんなかに身が
一つひらかれていく
一歩外へ出て
冷たい大気に触れてみれば
孤独の香りがそこらじゅう漂って
からだにしみわたる

時に身を浸すことができればきっと
冬の香りと語り合うように
たっぷり寝ることができるだろう




犬山 inuyama(12)2009

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空間が変化することによって
同じ空間内において時間の溜まりが生ずる
この時間の溜まりが押し出す力は圧倒的に思えるし
個人の力は及ばないところにあるようにみえる
音楽でいえば音の色彩変化やリズム
写真でいえば写された画面の密度のようなものだろうか

瞬間の持続
どこかで暗躍しているこうした意識あるいは無意識を
もう放棄してもいいのかもしれない
今ここという場所と瞬間を刹那的に狭く捉えながらどうにか持続させて未来へつなげていくことは
現在を乗り越えるための一つ一つの挑戦の積み重なりでありうるが
人的作為、自家中毒的な持続のまま終わりかねない

一塊になった現在というまとまりとその重なり
時の連なりからためだされた
時の重なりのなかへ潜ってみれば
現在と判然とは区別できない過去という時間の運動から
ありうべき現在が自ずから抽出され如実にあらわれるかもしれない
現在とはより広いものである

そして現在を広く視野に入れつつ
柔軟に過去を呼び起こしていくことは
ある慎ましさを生活に呼び込むように思える
慎ましさは
瞬間の持続や時間的連続の日常の裏側にある時間の澱みと溜まりを
生活空間の一部に感じることから生ずる
空間的変化はその時間の性質を端的に最も体感させる

思えばもう20年以上前から生物多様性の問題と環境問題が指摘されていた
このことについても権力ということと同じようにくすぶり続けていたのだが
環境問題も人を取り巻く空間的変化においてようやく
人の生活意識にあらわれるようになってきているのかもしれない
昨今取沙汰されるようになった生物多様性の問題の主題は大きく分ければ
人間が環境の一部として空間に過剰に介入していること
生物が空間のみならず時間的過程において複雑に存在していること
ごく基本的なこの二点を今ここにおいて地球に問うことだろう
しかしながら少し聞くだけでも問題は複雑を極めていて見通しは極めて暗くみえる
ある少女が代表会議で訴えていたように
大人たちは利害関係で頭がいっぱいで
ものごとの本質を単純に捉えることがなかなかできない

一つには
みえない場所からみえない資源を搾取することでゆとりを得ている場所ほど
生活における本質的な慎ましさということを意識して
それぞれがそれぞれにおいて実践していくことだろうか
慎ましさをもって時間を過去にさかのぼり
個々人が現在を様々に照射してみなければならない