benaoján(2), spain 2008

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焦点のない眺め
一点にふりそそぐ視線の根
すべての境目が融和し
足下からずっと続く岩石が心に緩衝する
薄緑色の空が心に映る
ちょうどそこにあった池の
透き通った湧き水にしみ込む足
水のぬめりを感じる
その感触とたわむれようとせずに
ただ故郷を感じる
生きる重みから離れたこのひとときに
知らず知らず
身体が重く心へ語りかける

ここはどこなのかと思う間もなく
ここから遠くはなれて
どれくらい時がたったのか
再びここへと戻ってくる
そのときここはここではない

ここは私の故郷へと還るための窓
その窓を通じてここは
「私ーここ」のがんじがらめの
物質的絆から開放され
ここでなくなる
ここを私の窓そのものとすることによって
ここをここでなくすこと




benaoján, spain 2008

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春を迎えれば東京をでていく
垢を落とし再出発して歩む

脱皮
蝉のように
内側から
ひそかなる飛躍を

残すもの残されるものを
残りの生への思いと
脱皮殻を思う
脱皮が深まるだけ
味わいもでるだろうと
殻に愛着がもてるようにと
殻の残し方朽ち方を思う

変態
残りの生にむかって
一匹の蛹となるために
擬態という奥深い知恵が要る

一つの個の形を求めるために何十年も備える
生をまっとうするにはそれだけの準備が要る