paris(3), france 2008

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赤ん坊の
物理的な軽さと相反する重力の重み
豊かな顔の表情とまだ細くもろそうな足
その拮抗に存在と生命の磁場が表出する

音の際に力がある
捉えきれない
過ぎさってゆく
もうここにはない
音をひそひそと
捉えようと
奥底の方で唸りをあげている
三頭身大の脳の中に含蓄された
遥かなる故人の智慧と身体と遺伝子のなかで
わずかにこの身体が
その産声の際に
宿る魂に触れる

音の磁場とは非なるもの
だが音の際で唸りをあげている
生命の磁場と楽器の
すれあいが音

木目に覆い隠された空間
その気の軽さの揺れるなかに響く低音
垂直にうまれる時間
コントラバスの磁場は
低音によって産声をあげる

産声から音楽が始まるとすれば産声を
創造することが不可能であるその産声を
どうつかまえるかではなく
音を生み出そうとする力に逆らわず
こうあるしかない方向が出現する産みの
手まえにある身体の内部を
聴き続ける

時間軸に抗して
脈打つ連なりを感じて
数世紀前に生きた人間の顔を思い描くように