甲州 koshu (13), 2008

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いつもの出勤 
いつもの電車
いつもの車両のなかで
いつもの古革鞄をもった 
いつもの老人と
いつもの無言の再会
いつもの歩道橋を
いつもちがったように登る

今日は足の上昇運動に朝の滞った脳がさらに制御されて耳がよく働いた
今日は歩道橋の揺れは人数に比例して少なかった
今日は光が強くて空を見渡せなかった
今日は蝉の鳴き声がとても長くしていた
暑さが和らいだ

いつもの老人と明日は何か話してみようかとふと思えばそんな時間はないと思ったはつかの間
いつもの8時25分
いつものタイムカード
いつもちがった身体の庭