京都 kyoto(9), 2008

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ぎりぎりの疲労と放心をともなった眠りの今朝は
身体の虚脱とともにある目覚めのなかにあった
虚脱のなかに再び身体が露出してくる
訪れてくるであろう脳裏の未来を待ち構えようと
身体を備えるのではなく
未来に近づいていく身体がある
今日やらねばならないこと
私がいなければみなが迷惑するであろうことたちへの感謝とともに
その慌ただしい義務感に束縛された朝の予測は
カチカチの石頭から脱出して
柔らかい脊髄のなかの髄液の循環へと侵入する
義務感そしてしなければならないことは
為すべきことへと変化し
為すべきことは為すこととなり
為すことは為されるという不確かな確信へと導かれ
夢の確信が生きる力となって
私の心と身体は動き出す
私の決定された未来はそうして
夢の未来へと変化する
たとえ二つの未来の面構えが同じでも
私のあり様は全く逆の方向を向いているだろう
そうした身体に気づいたとき
未来という一つの固形物が溶解するエーテル
漂流した液体に身を浸透させることを通じて
身体と心は世界に同化していくかのように変化する
だがそれは現実のなかに耽溺する同化ではない
投げ出された心と身体の動きは遅くなり
素早い現実に
ある摩擦と抵抗を示し施す形で
私は世界の一部となる
そうなると祈りながら朝は過ぎてゆく

鴨長明「ゆく川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず 淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しくとどまりたる例なし」
自己と世界への洞察は
第三者的視点のみではなく
自らが動きのなかにある聴点にあらねばならない
時間の体している心の限定と新しい変化
空間の体している身体の限定と新しい変化
その存在と非存在の織りなす網目のなかに
分け入る心と身体を示しているかのように
その言葉は
聴こえだす

自己という一つの時間のまわりに感じられる
時間や空間がどのようにうごめいているか
そのうごめき溶解していく未来をつかみ取り
つかみ取っては逃げ出す
その時空間のなかに身を浸すこと
非自己なるものの自己への介在を感じとること
それとともに動き変化すること
何かが変化するを観測するのみならず
変化のなかに自らがあることを知る
知恵と恵み