cordova(5), spain 2008

shapeimage_1-141

必要だと信じて
一人の人を訪問しつづけることには
勇気と意思力が要る
休息そして努力も要る

行けない日があったら次の日に訪問する
そうして心を欠かさずに訪れて話をする

昨日と同じことを言ってはいけないと
なぜどこかで思っていたのか
そうでなくともよかったと
はっとする
日々の日課は一つ峠を越えたのかと気付いて
また一つ安堵する

同じ場所と同じ時間を
できうる限り毎日
繰り返し経験する
共有までせずとも
その日その日一日限りのことが
それだけで重い
大事なのはその日その日の会話と声と
身振り手振りと顔の表情が
そこにあったこと
会話する言葉を深めるのではなく
心の深まりが言葉を生む

お互いの
言葉が自由になって
どこかどんどん素朴になって
どこか音に近づいていって
重い言葉が軽やかになって
沈黙が言葉を支えていると
ふとわかるようになる
沈黙が静寂となるとき
静寂こそが明日の訪問のささやかな布石となる
沈黙が言葉の源泉なら
静寂は明日への願いだろうか

日々の過程を
内省と会話の均衡を保って
形づくられてきた道をさらに踏みしめる
道の形を破ろうとせず守ろうともしない
流動する言葉で
語りかけること
そして再び明日
訪れること